「うつ病性仮性認知症」を見逃すな! “前兆”を知って早期発見、認知症予防に- 記事詳細|Infoseekニュース
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「うつ病性仮性認知症」を見逃すな! “前兆”を知って早期発見、認知症予防に

夕刊フジ2016年8月20日17時12分

 認知症の前触れともいえる「うつ病性仮性認知症」という病気が注目されている。集中力や注意力がなくなるといった症状が特徴だが、気づかずに放っておくと本物の認知症に移行する恐れがあるという。日常生活の中で異変を察知して早期発見できれば、認知症予防につながりそうだ。見逃してはいけないシグナルとは-。

 「認知症」は何らかの病気が引き金となり、脳の神経細胞が壊れるために発症する。一方「うつ病性仮性認知症」は脳の司令部である前頭前野の機能が何らかの原因で低下して起きるとされる。

 東京医科歯科大医学部の朝田隆・特任教授(認知症学)によると、うつ病性仮性認知症は、気分の落ち込みとともに、注意力や集中力が損なわれる病気で、発症すると「無気力」や「段取りの悪さ」が目立ち始める。

 例えば、掃除を始めよう、買い物に行こうと思った場面でも「まあいいか」とすぐに投げ出してしまう。あるいは、これまでテキパキとこなしてきた食事の支度などに手間取ったり、何から始めればいいのか順序立てて考えられなくなったりするといった症状が出てくる。

 ほかにも肩こりや頭痛、便秘、頻尿、食欲不振、口の渇き、夜中に目が覚めやすい-といった体の異変がシグナルとなることもある。

 この病気が注目されるのは、本物の認知症へと進展することが少なくないからだ。だが、患者サイドは「年だから」とか「兄弟や仲の良い友人が亡くなったから」などと理由をつけ、さほど気に留めないケースも少なくない。

 「老年期を迎え、これまで見られなかったこのような症状が急に現れた場合は特に注意が必要。こうした状況を数年間放置してしまうと、本当の認知症に移行してしまう恐れがある」と朝田氏はいう。

 うつ病性仮性認知症から移行しやすい認知症と言われるのが「レビー小体型認知症」だ。患者数が最多の「アルツハイマー型認知症」に次いで多い認知症で、実際にはない物や人が見えるといった「幻視」が特徴。手が震える、動作が遅くなるといったパーキンソン病の症状も現れる。

 早期発見が認知症予防に重要と言えるが、症状に気付いたら、どのような対策を講じればいいのか。朝田氏が提案するのは、脳に知的刺激を与えながらウオーキングなどの有酸素運動を行う「デュアルタスク(ながら動作)」だ。

 「例えば、歩きながら5・7・5の音を持つ川柳を作成し、さらに、作った川柳の中に同じ仮名文字が複数あるかないかを考えるといった方法が手軽に取り入れやすい。集中力と注意力を高める作業を軽い運動をしながら繰り返すことで、前頭前野と頭頂部の機能を高め、認知症の予防につながる」(朝田氏)という。

 “前兆”を知って、認知症の芽を摘みたい。
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